かみふの風にのって

2023年11月8日

かみふの風にのって

第二話 日本一早い紅葉が今年も十勝岳にやってきた。

日本一早い紅葉が今年も十勝岳にやってきた。

 

 

毎年紅葉の季節になれば家族で紅葉狩りに出かけた。

車は道民生活に必要不可欠。車の窓から見えるかみふの四季もとても美しい。

九月、家族でドライブがてら十勝岳の紅葉を見に出かけた。帰りに日の出公園にもよった。もうラベンダーの季節ではないものの、そこから見えたのは私の大好きなこの町の自然に違いはなかった。

 

ふと目線をむけると少し遠くに見覚えのある少年のあの横顔が目に入った。

一人でいるには不安になる年頃には見えないが、何となく気になり近寄って声をかけていた。今度は彼が走り出すことはなかった。

聞いてみると一人で来たらしい、家は私たちと同じ方向だった。

 

どこか寂しげでほんの少し暖かい瞳、少ない言葉を話す声に、初めての感情になった。

両親にも話して彼と一緒に少しドライブして帰ることにした。

車内はいつもと変わらず、歌を歌ったり、窓から見えた紅葉を楽しんだりした。

彼は賑やかな車内に少し驚いたりもしたが、彼も少し歌を口ずさんだ。意外だった。

 

私は窓の外に見える紅葉に負けない彼の美しさに、彼の声に、恋をしたのだった。

 

昔から見る景色。変わらない景色のはずが今年は一味違った——。

 

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